ポーチの内側をバインダーでテープパイピングにて縫製
近々納品の予定のポーチの縫製が大詰めを迎えています。
私たちが主業とする「縫製」は、前段階の処理が非常に大切です。
今回納品まで3ヶ月ほど頂戴しておりますが、おおよそ半分程度は生地や部材(テープ・ネームタグ・ファスナー等)の手配、裁断、スクリーン印刷に時間を要します。
下処理が終わった生地・部材が揃ってから、やっと縫製の段階に入ります。
ポーチの楕円形の裁断は、金型を製作して地元浜松の裁断屋さんにをお願いしています。
以前は浜松市内にも多数裁断屋や生地をバイアステープに加工していただける業者さんがあったそうですが、現在は数えるほどです。
ポーチの内側は接合部分をテープにてパイピング処理を行います。
複数の生地の端をテープを2つ折りまたは4つ折りにて仕上げます。
内側のパイピングはポリプロピレンのテープで仕上げるため、ほつれが無いため、2つ折りで縫い付けています。
バインダー(ラッパ)でのテープパイピング加工
当店では、カーブの多いテープパイピング加工を行う際には、バインダー(ラッパ)と呼ばれる金具をシリンダーベッドミシン(腕ミシン)に取り付けて縫製します。
バインダーは既製品もありますが、生地の種類や挟む生地の合計の厚さ、2つ折りか4つ折りかで微妙な調整が必要です。
そのため、量産品には専用のバインダーを業者さんに依頼をして制作していただくこともあります。
バインダー自体は完全にオリジナル品のため、制作する費用もそれなりにかかります。
少量生産の場合は、バインダーの制作費が賄えないため、器具を使わずにテープパイピングを行うこととなり単価がどうしても上がってきます。
こういった縫製を楽に美しく仕上げる器具に費用を投じることが可能な数量かどうか、という点も、量産により価格下落ができるかの分岐点の一つです。
現在、マチと本体がバラバラの状態から完成形まで一気に仕上げます。
完成したポーチは、クリーニング、検針、アンコ入れ、梱包をして納品です。

中川拓郎(なかがわたくろう)
静岡日和株式会社
店主&小間使い
プロフィール
静岡市在住、1975年生まれ。
静岡市で3名の縫製を担当していただいているスタッフさんと共に、帆布を主とした縫製品の企画・製造・販売を生業としています。
Web業界出身と異色のため、ITには少しだけ明るいです。
縫製過疎地の静岡市で日々「糸」と「布」と格闘しています。全くキラキラしていません。